2021.05.30 08:00展示写真解説 13 「ヨーロッパを変えた男、グレッグ・レモン」ご存知、ツール・ド・フランスで3回優勝したグレッグ・レモン。アメリカ初のツール優勝者であり、また世界選手権の優勝者です。未知谷から出されたグレッグ・レモンという本は、日本で出された自転車本の中で屈指の面白さ。ヨーロッパの自転車界に伝わる迷信、たとえばチーズはいいけどアイスクリームはダメといった根拠のない言い伝えを真っ向から否定し、アメリカ式のやり方で上記の成績を出したのです。初心者にはちょっと難し...
2021.05.29 08:00展示写真解説 12 「パンターニのショーに酔った日」1999年ジロ第15ステージ、オローパがゴールのステージ。パンターニは最後の上りでチェーンを外し、立ち止まりました。ところがそのあと次々と先行する選手を追い抜き、ジャラベールすらも後塵を拝したのです。僕はこのときのことをはっきりと覚えているのですが、とにかく沿道は興奮したファンが道路に出てきてオートバイが進めない。後ろからはパンターニが猛烈な勢いでやってくる…。会場が騒然となり、クラクションと怒涛...
2021.05.28 08:00展示写真解説 11「ひまわり畑の農家」2017年のツール・ド・フランス・第11ステージ、エイメ〜ポー。ひまわり畑です。僕は今、趣味で野菜を作っているけど、非常にアカデミックな道というか、とにかく簡単ではないです。しかも日本は食料自給率が低く、多くを輸入に頼っています。戦争だとか気候変動とかが起きたとき、対応できるのかと心配です。こんなこと言うと考えすぎと言う人もいるかもしれないけど、じゃあ5年前にコロナのことを予想した人がいたでしょう...
2021.05.27 09:43展示写真解説 10「プラトー・ド・ベイユでの戦い」2015年のツール・ド・フランス・第12ステージ、プラトー・ド・ベイユでの戦いです。ゴールギリギリまでオートバイで粘って撮り続けました。激しい雨が降り出しましたが、アドレナリンが吹き出していたので、もっと降ってレースが厳しくなって欲しいと思ったのを覚えています。この中で2021年現在、引退した選手はわずか1名。残りは今も世界の最前線を走っています。全員の名前を言えますか?
2021.05.26 08:00展示写真解説 9「文化遺産で人が普通に暮らし、普通にレースがある国」世界文化遺産に指定されているマテーラをスタートするプロトン。昨年のジロの第7ステージです。石灰岩でできた洞窟の中で人が長く暮らしていた歴史があり、劣悪な衛生から人を守るために半世紀ほど前に強制的に排除されたものの、こうして文化的な街が形成されたりして、とても見応えがあるところです。一説によると、世界の文化遺産の半分はイタリアにあるとか。真偽の程は知りませんが、たしかに素晴らしいところがいっぱいあり...
2021.05.25 08:00展示写真解説 8「フランドルでムセーウを打ち破ったブーニョ」1994年のツール・デ・フランドル。地元の英雄ムセーウを僅差で破ったイタリアのジャンニ・ブーニョ。グランツールの総合とクラシックレースの両方に強い選手は、80年代までいましたが、90年代になると、ほぼブーニョだけになりました。しかも世界選2勝!1990年のジロでは初日から最終日までマリア・ローザを着て、イタリア人を熱狂させました。ペダリングするフォームも素晴らしく、スプリントでも上体がまったく揺れ...
2021.05.23 08:00展示写真解説 7「ジロ大歓迎」ジロはイタリア一周レースだけど、じゃあ104回の大会でイタリアの隅々まで行き渡っているかというと、そんなことはありません。今年のジロの最終日のタイムトライアルがスタートする町は、初めてキャラバンを迎え入れるそうです。つまり、どこの町や村もジロが通ったことがあるなんてことは決してないわけです。逆に通るとなると、その歓迎ぶりはすごいものがあります。写真にあるこの村も、壁面が三色に塗られています。グラン...
2021.05.22 08:00展示写真解説 6「イゾアールに入る直前のパンターニ」2000年のジロ・第19ステージで、フランスのブリアンソンに入るステージです。写真はフィルムの中判カメラ、ペンタックス645で撮りました。ゴール直前にはツール・ド・フランスでおなじみのイゾアール峠があり、ここに入る直前のマルコ・パンターニです。イゾアールでパンターニはチームメイトのガルゼッリを援護します。ガルゼッリはパンターニに区間を狙わせようと進言するのですが、パンターニはこれを断ってアシストに...
2021.05.21 08:00展示写真解説 5「ラベンダーの記憶」2014年のツール・ド・フランスで、南仏のラベンダー畑を走っているところです。僕は長い間イタリアのミラノ郊外に家を持っていました。ストレス満載の国なんだけど、やっぱり好きでした。自転車レースで50カ国ほど行ったけど、苦手だったのはスイスでしたね。とにかくスピード違反に非常に厳しく、これまで何回日本の家に郵便で罰金納付書が送られてきたか覚えていないほどです。レンタカーでスピード違反をすると、まずレン...
2021.05.20 08:00展示写真解説 4「傷ついたクネゴとアシストたち」この写真はプロのレースがどんなものかをよく表しています。2008年のツール・ド・フランスで、イタリアのダミアーノ・クネゴが落車。すでに集団は遠くに行ってしまい、普通だったらリタイアするところを、彼はゴールを目指しました。その後、彼の家でこのときのことを聞きましたが、とにかく頭がぼーっとしていて、何を考えていたかわからなかったと言っていました。このボロボロになったエースを援護するのはマルツァーノ、リ...
2021.05.19 08:00展示写真解説 3「上りよりも厳しい平坦」2012年のツアー・オブ・カタールです。今は行われていないレースですが、僕はほぼ毎年行っていました。高級ホテルに素晴らしい食事がついており、しかもコースの大半は砂漠なので平坦路だけです。だから春先のトレーニングのつもりでやってくる選手やチームもいたのですが、そんな彼らには強烈なパンチが浴びせられます。なぜなら、強い風があるからです。コースの方向が変わるところは風向きも変わるので、その手前から普段風...
2021.05.18 08:00展示写真解説 2「スペインのサムライ」この写真は1993年のツール・ド・フランス・第19ステージのタイムトライアルです。マイヨ・ジョーヌを着ているのはスペインのミゲル・インドゥラインで、この大会でツール3勝目をあげました。横から見ると自転車のことがよく見えますが、彼はアマチュア時代からプロを辞めるまでフレームのスケルトンが変わらなかったということを、ピナレッロの現オーナー、ファウストから聞かされて驚きました。またシューズは一貫してイタ...