展示写真解説 4「傷ついたクネゴとアシストたち」

この写真はプロのレースがどんなものかをよく表しています。

2008年のツール・ド・フランスで、イタリアのダミアーノ・クネゴが落車。

すでに集団は遠くに行ってしまい、普通だったらリタイアするところを、彼はゴールを目指しました。

その後、彼の家でこのときのことを聞きましたが、とにかく頭がぼーっとしていて、何を考えていたかわからなかったと言っていました。

このボロボロになったエースを援護するのはマルツァーノ、リーギ、モーリといったアシスト。

彼らにだって良い成績を残したいという気持ちがあるはずです。

しかし、エースのために働くのがプロとしての仕事で、放棄するわけにはいきません。ちなみにマルツァーノはアマのジロで優勝している選手です。

3人のアシストはかわるがわるクネゴを押していますが、これは反則です。が、そばにいた審判はずっと黙認。人情溢れる人でした。ちなみに、パンターニが1997年のジロで猫が飛び出して落車した時、アシストが戦意喪失のパンターニの尻を押すことを審判はルール違反としてやめさせました。

翌日クネゴは出走せず、結果的にこの日の完走は無駄になりましたが、この時のクネゴ、そしてこれを助けたアシストのことを一生忘れることがないでしょう。

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