展示写真解説 2「スペインのサムライ」
この写真は1993年のツール・ド・フランス・第19ステージのタイムトライアルです。
マイヨ・ジョーヌを着ているのはスペインのミゲル・インドゥラインで、この大会でツール3勝目をあげました。
横から見ると自転車のことがよく見えますが、彼はアマチュア時代からプロを辞めるまでフレームのスケルトンが変わらなかったということを、ピナレッロの現オーナー、ファウストから聞かされて驚きました。
またシューズは一貫してイタリアのSでした。そこの選手担当から聞いたのですが、アメリカのN社から莫大な金額でオファーが来たけど断って、Sをずっと使ったそうです。
つまり一度使ったものはずっと変えないというタイプで、なんでもかんでも新型を欲しがる選手とは大違いです。
喜怒哀楽を顔に出すこともなく、僕にとってはまさにサムライのような選手で、心から尊敬していました。
僕とミゲルの接点はカンパニョーロで、1993年から昨年まで仕事していました。星の数ほどいるフォトグラファーの中から、自転車マイナー国出身の自分を使ってくれ、本当に感謝しています。採用当時のカンパニョーロの担当者はフランスの名門プジョーで数年プロをやったアンゴ。今は年金生活を送っていますが、親交があります。この写真もヨーロッパの雑誌広告などで使われたと記憶しています。
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