展示写真解説 1「モンテ・ボンドーネ」
モンテ・ボンドーネはジロの長い歴史でよく出てくる山岳ですが、なかでも1956年のステージは伝説中の伝説です。
自転車史上最強のヒルクライマーはイタリアのマルコ・パンターニと、ルクセンブルクのシャルリー・ゴールです。
ゴールは1956年のジロで総合優勝していますが、そのとき、ここモンテ・ボンドーネで吹雪に見舞われました。
区間優勝したものの、寒さで自転車から降りることすらできず、そのまま抱えられてホテルのバスタブに連れて行かれたのです。
そのとき、行方不明になった選手も出ましたが、なんと牛小屋に入り、牛の下で暖を取っていたそうです。
もう20年ほど前でしょうか、僕はこの山の麓の町トレントのホテルに飛び込みで泊まりました。
そこのマダムは、なんとシャルリー・ゴールが抱えられて連れて行かれたホテル・モンテボンドーネの娘さんでした。
僕がジロを撮っているフォトグラファーだというと、当時の写真を見せてくださり、そしてその日の混乱した状況もまるで昨日のことのように教えてくださいました。
昨年、ここを通過した時、このような幻想的なシーンが見られ、ものすごく感動しました。
僕にとってモンテ・ボンドーネは、物語の詰まった場所です。
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